大動脈解離・心臓弁膜症をまとめてみた!
今回は大動脈解離・心臓弁膜症についてまとめてみました。
訪問リハビリでは開胸術後のご利用者様も多くいます。そのため、しっかりと手術内容および術後の経過も理解しておく必要があります。
難しい病態を持っていても病態の理解とリスク管理さえしっかりと抑えていれば急変を防ぐことができます。
・大動脈解離の概要
大動脈の内膜に生じた亀裂から血液が流れ込み、空洞が形成された状態を大動脈解離と言う。上行大動脈(腕頭動脈より心臓側)に解離がある場合、心タンポナーデや急性心不全などの致死性合併症が起こる。
・心臓の弁が正常に働かなくなり血液の逆流を生じた状態を心臓弁膜症という。逆流が高度になると、心不全や不整脈などの合併症が起こる。大動脈弁と僧帽弁に多い。
・大動脈解離・心臓弁膜症の障害像
開胸手術は術後の臥床期間が急性心筋梗塞などの患者と比べて長く、心不全や心筋梗塞、呼吸機能低下など合併症が起こりやすい。
挿管による影響で気道内分泌物の増加で嚥下障害低下をきたすことがあり、術前より呼吸機能が低下している症例では排痰に難渋することもある。
肺の左右の上下葉区と肺底部において無気肺や誤嚥性肺炎を合併することが多い。
・術後の理学療法
術後早期から離床を開始する。
バイタルサインの変動に注意しながら挿管されていても座位、立位、歩行というように段階的に運動負荷を強めていく。
回復期には有酸素運動を中心に行う。
運動療法だけではなく、食事指導や禁煙、生活指導などの再発予防を中心とした指導を行う。
血圧、心拍数の変化に注意する。
高齢者を中心に術後はせん妄などが起こりやすいので早期離床をはかる。
大動脈解離の術後では吻合部や大動脈への影響を考慮し、尿量維持と脳血流量に配慮した上で血圧を低くコントロールする。
病院や症例によって異なるが、安静時収縮期血圧130mmHg以下、運動負荷後150mmHg以下を目安とする。
基本的には術後安定した状態で病院を退院してくることが多いと思うので訪問リハビリではバイタルサインの確認はモチロンのこと浮腫や体重の増加、運動時の血圧、脈拍数の変化を継時的に観察していき、再発予防に徹底していくことが大切だと思います。